追加考察 ユンファ編① (公式ミニファンブックを読んで)
公式ミニファンブックのネタバレを含んでいます。
詳しくはこちらをご覧ください。
今回は追加考察の第二弾といたしまして、ユンファ編をお送りします。
第一弾・フニ&キトリー&ザック編はこちら
そうそう、カナタの「スターアイランド探査」って、よくよく見るとそのまんま自分の名前(ホシジマ)でしたね!
名前を技名にするのはあれだけ否定的だったのにこれはいいんだ・・・(笑)。
すいません本題に入ります。
今回はテーマがテーマなだけに気合入れました。
お付き合いいただければ幸いです。
今回管理人が掘り下げていくのは、ファンブック中のユンファに関する以下の記述についてです。
獄中のルーシー・ラムと幾度となく面会を重ね、後に和解。刑期を終え出所した母と同じステージに立つことを希望するが、ルーシーは歌手を引退したとしてこれを拒否した。しかしユンファの尽力もあり、小さなライブハウスでのシークレットライブで二人の共演が実現。わずか400人の観客のみが奇跡の舞台を見届けた。これがネットで拡散されたことで大きなニュースとなり、ルーシー・ラムが舞台に立つことに賛否が分かれ、大きな議論を呼んだ。
・・・篠原先生、さらりとなんて強烈な後日談ぶっこんできたんですか・・・!
そりゃあ大きな議論にもなりますよ。
このブログ上でも火花バチバチ散らせていきますね!(冗談です笑)
ユンファの母親の人物像について考える
始めに、そもそもユンファの母親が7年後時点で既に出所していた、という事実自体意外に感じられた読者様も多かったのではないでしょうか。
少なくとも管理人は、これだけ悪質な組織犯罪が行われたのですから、てっきり無期懲役とまではいかないまでももっと刑期は長いものと思ってました・・・。
仮に他のオリジナルたちも似たり寄ったりの判決だったとしたら、出所後に懲りずにまた悪だくみを始めないか、それによってメンバーたちが再び脅かさないか、彼らなら大丈夫だろうと思いたいところですがやっぱり気がかりですね。
いや、これはむしろ壮大な次章~反撃編~への伏線・・・!?(←とこっそり期待してみる笑)
まあ続編があるかどうかはさておくこととして(笑)、ユンファの母親に限って特に反省の色が濃かったために情状酌量された、という可能性だってあります。
そこで、ここからはユンファの母親の人物像について、管理人なりの推察を展開していきたいと思います(もちろん引用した箇所以外は全て管理人の妄想の産物ですので、生暖かい目でお守りいただければ幸いです)。
ユンファの母親といえば、2巻のユンファの回想シーンでの強烈な毒親っぷりが印象的ですが、彼女のルーシー・ラムとしての並外れた名声を考えると、自分に対しても相当に厳しく、世界の歌姫に上り詰めるまでにも想像を絶するような努力を重ねてきたようにも思えます。
と同時に、それだけ努力していくら成功を収め、またその才能や美貌がいくら称賛されようと、決して満足できなくさせるような何かしら深い心の傷を負っているようにも感じられるんですよね。
ここで、幼い頃のユンファが一人歌っている情景が思い出されます。
「私は歌が好き だから隠れて1人で歌ってるの とても心が安らぐから」
ひょっとしたら、ユンファの母親もまた、ユンファと同じように心ない親から否定ばかりされて孤独な少女時代を送っていたのではないでしょうか(ユンファのこのシーンがルーシー・ラムの幼少期の再現であるという可能性)。
これは一つの仮定に過ぎませんが、虐待が世代連鎖することも少なくないことからあながちなくもないのかな、と。
ルーシー・ラムの歌があらゆる世代の心を打ったのも、彼女の歌がもともと痛みを癒すためのものだったから、と考えると納得がいきます。
ルーシー・ラムは若返って何がしたかったのか
仮にルーシー・ラムがそのような生い立ちの人物だったとすると、いくら優しい性格とはいえユンファがあれだけ自分に酷い仕打ちをした母親との和解に尽力したのもわかる気がします。
ユンファは彼女の孤独を一番に理解していて憐れに感じ、救おうとしたのではないでしょうか。
さて、ここで一つの疑問が浮かびます。
ルーシー・ラムは若返り計画によって結局何がしたかったのでしょうか。
彼女は34話の密談には参加しておらず、その本心は謎のままです。
これについて、ユンファは
「お母さんはもう一度若い年齢から歌手人生を始めようとしてる」
と言っていますが、それなら器となるはずのユンファに17年間ボイストレーニングの基礎すら仕込んでいる様子がないのはどういうわけでしょうか(人前にさらさずとも方法はあったはずです)。
第一、ルーシー・ラムは怪我で引退を余儀なくされたカナタの父親とは違い、現役のトップスターなのです。
わざわざ振出しに戻って一からのキャリアの積み直しを望む、というのは、たとえそれによってもう一度若い体を手に入れられて長生きもできようと、考えにくいと思うんですよね。
もし彼女が深刻な生き辛さを抱えながらも血のにじむような努力を重ねて今の地位を築き上げたのであれば、なおさらです。
若返り計画に伴うリスクや負担もバカになりませんし。
ですが、仮にルーシー・ラムにすべてを承知の上でそれでも生まれ変わってやり直さなければならないと強く思わせる、それこそ脅迫的ともいえるような動機があったとしたらどうでしょうか。
非の打ちどころのないようにもみえる彼女のキャリアのどこかに致命的(と本人が固く信じる)「何か」があり、ユンファになり替わることで「それ」を回避しようとしていたのだとしたら。
この場合、「それ」を取り返しのつかない汚点のように最初に彼女に思わせたのは、まず間違いなく前述の心ない親だと思います。
もし「それ」を指して「アナタの人生は終わりよ」などと言い、その言葉が彼女の心に決して癒えない深い傷跡を残したのだとしたら。
ルーシー・ラムは、若返り計画により「それ」を回避することに成功することで、今までどれほど切望しようと叶わなかった心の充足を得られるようになるのでは、と、半ばすがるような思いだったのかもしれません。
回りくどくなってすいません。
じゃあなんだよ「それ」は!って話ですよねハイ(笑)。
じゃーん!実はルーシー・ラムは親を殺ってたんです!・・・なんて言うつもりはなく(まあその可能性がゼロとも断言できませんが)。
それよりも、現実はもっとずっとありきたりなもの、例えば異性との交際トラブルだったんじゃないかな、と。
そしてその中でも考えられる可能性はいくつもありますが、管理人が一番あり得そうだと思うもの、それはバツ・・・すなわち「離婚」です。
え?どういうこと?って感じですよね。
そこで、ここから先は説明に代えて管理人の妄想劇場でお送りしたいと思います(結局そうなるんかい)。
ちなみに劇中のウェイというのはルーシー・ラムの本名です。
あまり馴染みがない方も多いと思いますが、こちらの方が適当だと思ったので今回こちらを使わせていただきました。
外伝~ウェイ・ルーの半生~
ウェイは両親が嫌いだった。
年中酔っぱらっては暴力を振るう父親のことも、ため息ばかりでちっとも自分をかばってくれず、それどころか理不尽な要求ばかりしてくる母親のことも。
でも、一番嫌いなのは無力で誰からも愛されない自分だった。
だからウェイは努力した。
率先して家事をし、勉強でもスポーツでも一番を取ってきた。
父親は変わらずウェイをひっぱたき、母親は娘のアラをやっきになって見つけてきては厳しい言葉を言い放った。
ウェイの唯一の慰みは隠れて1人で歌を歌うことだった。
それでも、年頃になるとウェイの味方が現れた。
年上の男性だった。
両親のもとから早く逃れたかったウェイは、プロポーズを一も二もなく承諾し結婚。
だが、幸せは長くは続かなかった。
自分を愛してくれていると思っていた夫は、実際にはウェイの美貌に惹かれただけで、ウェイをまるで尊重してくれなかったのだ。
ほどなくしてDVが始まる。
その頃ミュージック・バーで働き始めていたウェイは、離婚を選択。
だが、傷心のウェイを待ち受けていたのは、母親のあまりに惨い言葉だった。
「アナタのことほんとは見所もあると思ってたけど、こうなってしまった以上もうダメね」
この時の経験はウェイの後々の人生に大きな影を落とすことになる。
数年後、何万人もの人々が詰めかける華やかなステージ上に歌姫・ルーシー・ラムの姿がある。
ウェイは離婚後ひたすら仕事に打ち込み、人前でも請われれば歌っていたところがじわじわ世間の評判になり、見事歌手として花開いたのだ。
ウェイの若さからは想像もつかない情感あふれるダイナミックな歌声は人々の胸を打ち、虜にさせた。
歌手として飛躍する一方で、ウェイの人嫌いはますます募っていった。
彼女の離婚歴など気にせず求婚してくる男性は山ほどいたが、ウェイはこれを全て拒否。
そんな折、母親から一通の報せを受ける。
行方不明になっていた父親が川で水死体となって浮いているのが発見されたのだ。
アル中の悲惨な末路だった。
久々に母娘は再会し、ここに和解のチャンスが訪れる。
しかし、母親は成功した娘を誇りに思うよりも先に妬ましさが立ってしまい、ウェイの差し出した舞台の特等席のチケットを人に売ってしまう。
それでも時間をかければいつかは親子が抱き合う日も来たのかもしれないが、ほどなくして母親も急死。
ウェイは孤独の中深刻な自己肯定感の欠如に悩まされていくことになる。
それは、業界の知人の紹介でVIP専門のカウンセリングを受けに行った時のことだった。
彼女に運命の転機が訪れる。
後のキトリーの母親との出会いだった。
いつしか離婚・・・そもそもつまらない結婚をする以前に戻れれば自分は救われると妄信するようになったウェイ。
ユンファを産み、男性を寄せ付けないよう監視下に置きながら17年間育てる。
しかし、ゲノム管理法により転生の野望は打ち砕かれ、証拠隠滅に加担するも、今度はクローンたちの帰還により劇的な逮捕にいたる。
離婚などと比べようもない汚点にまみれることになったウェイ。
絶望し、もう歌うことすらできない。
だが、ここから思わぬ未来が待っていた。
まず、ユンファが面会に訪れたのだ。
当然自分を責めたてにきたと思ったウェイは、ユンファの誠意ある言動に心打たれる。
それから、かつてのファンたちによる大規模な「ルーシー・ラム擁護運動」もまた、彼女の心を強く動かす。
ファンたちは皆一様にルーシー・ラムの歌に救われていて、罪を犯した彼女をなお深く愛していたのだ。
ウェイはユンファに徐々に心を開き始めるとともに、持ち前のストイックさで模範囚となっていく。
判決は、もともと主犯格ではなく反省の色も濃いことから、当初の大方の予想よりかなり軽いものにとどまった。
出所後、同じステージで歌うことを望むユンファ。
さすがにそれは許されないと拒むも、ユンファの押しの強さに根負けし、承諾。
それは、初めて見る世界だった。
鳴り止まない温かい拍手。
観客の誰もが、ありのままのウェイを受け入れていた。
愛していた。
隣でユンファが微笑みかける。
久々に出すビブラート。
親子の歌が紡ぎだされる。
ウェイはその時ようやく知った。
彼女は人生にいつも完璧を求めてきた。
だが、彼女の本当に求める人生は、傷ついたその先にあったのだと。
こんな長いの読んでくださってる方いるのかなあ・・・(笑)。
後半はまた違った角度からみていきます。
お読みいただきありがとうございました!!
原作感想考察記事一覧(まとめ)を見る